ゆきと鬼んべ

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原作/さねとうあきら  潤色/久野由美
演出・振付/坂東冨起子 監修/ふじたあさや
音楽/清元栄吉      衣装/中矢恵子
美術/矢羽田輝伸     照明/坂本義美
音響/山北史朗
制作/上保節子

            
 
おはなし
 お山は、三年ごしの日照りで、ぽちっとも、雨が降らねえ年だった。
 目の見えないゆきは、りょうしのお父うにつれられて、山の畑の豆を世話していた。
 ある日、ゆきは山オニの鬼んべと出会い、大竜巻にまきこまれて、山の墓場デェデラ谷へ飛ばされてしまった。
 谷のおくは洞穴で、中にすずなりのあかんぼが泣いている、おっそろしい日照りが続く飢饉(ききん)の年にゃ、百姓たちは、貧乏で育てられなくて、じぶんの生んだ子を土にうめてころす――。山の墓場の番人のデェデラ坊は、それを地べたの神さまが生みなさった子じゃと、みんなほじくりかえして育てているのだ。
 そして、この日照りは山のあるじのりゅうじんが熱やまいにかかり、雨をふらすことができないからだと、デェデラ坊にきいたゆきは、生きてふたたびもどったものがないという、おっそろしいりゅうじんの山へ、「いのちを助けるためだったらなんにもおっかなくねえ。」とたったひとりでのぼっていった。
 鬼んべも大好きなゆきを何としてもたすけようと勇気をふるいおこし、ゆきをおいかけてりゅうじんの山へ向かうのだった。
 ――そこには、弱虫の鬼んべはなく、人間どもに。しなくちゃなんねえことを、きっぱり教えてやる、鬼の面がまえがあった――。